ローマ
 私は映画が大好きです。"ローマの休日"はこれまで何回見たのか分からないほど繰り返し見続けています。 子供の頃から大好きな映画なんです。
だからローマへ行く、というのはずっと昔からの夢でした。 死ぬまでに一度は行きたい所、私にとってはそれがローマでした。
しかし、ローマへの道は険しかったです。最初からトラブルが発生してしまったんです。

 私の住む札幌からヨーロッパへ行く場合、飛行機の乗り継ぎ時間の都合上、かなりの確率で前泊が必要となります。
私もまず札幌から成田へ飛び、その日は成田で前泊しました。あれは2月の事でした。

 そして遂にローマへの出発の朝。成田のホテルで目覚めた時はすでに興奮状態でした。
今日、夢にまで見たローマへ出発するんだ、そう思い、勢い込んでカーテンを開けた瞬間、びっくり仰天。
外は猛吹雪で、思いきり雪が積もっていたんです。
え? ちょっと待って。ここは北海道じゃないよね?
一瞬寝ぼけているのかと思いました。だって、前日成田には雪などなかったんです。
それでも不安を抱えつつ成田空港へ向かいました。すると案の定"フライトに遅れが出るだろう"との事。 どのくらい遅れるのかは全く不明。
大丈夫かなぁ、と思いながらもまずは出国手続きを済ませて待合室へ。しかし、そこからが地獄でした。

 飛行機に乗り込み、離陸を待っていると機長からのアナウンスが。
「滑走路の除雪のため、2時間遅れます」
予想はしていたものの、ガックリ。でも、しかたがありません。気を取り直して読書をしながら時の過ぎるのを待ちました。
ところが2時間後、再び機長からのアナウンスが。
「当機の雪下ろしのため、あと2時間遅れます」
これにはさすがに「えー!」という声が機内全体に響きました。だけど、どうする事もできません。ひたすら待つだけです。
しかしそれから2時間後、またまた機長からのアナウンスが。
「雪を下ろす機械が1台しかないため、機械が空くのを待っています。あと2時間遅れます」
この時点ですでに4時間待ちぼうけ。しかもまだ2時間待ちだと宣告されてしまいました。
そこからは本当につらかったです。お腹はすいてくるし、ヒマすぎるし、乗客のイライラも頂点に。皆そろそろ限界です。
だけどそれで終わりではありませんでした。
その後も機長のアナウンスは幾度となく続き、結局12時間遅れでやっと成田を飛び立ったのです。
サン・ピエトロ寺院からの眺め  ローマへ着いたのは早朝でした。前日の夜に到着のはずが、半日予定が狂ってしまったのです。
ホテルへたどり着いた時は、朝の6時。
ええい、もう寝てなんかいられない。このまま観光へ行っちゃえ、とすぐにホテルを出発。
私は飛行機で眠れない性質なので、もう24時間以上寝ていません。
そのせいか、初日からハイテンション。でも、ローマの街並みは眠気を忘れさせてくれるほど素晴らしかったのです。
歩いているだけで幸せ、そんなふうに思えたのはローマが初めてでした。
映画のシーンが頭の中に蘇えります。ああ、本当に幸せ。

 ローマで私が特に気に入ったのは"サン・ピエトロ寺院"からの眺めです(写真参照)
"サン・ピエトロ寺院"ではエレベーターに乗り、それから狭い階段をひたすら上って行き、 やっと屋上へたどり着く頃には息切れがしました。
でも、屋上へ出て周りの景色を見た時には感動!
もうローマへ来るまでの苦労など全部吹っ飛びました。
私はそこから見た景色を目に焼きつけ、ここからの眺めを絶対に忘れないでおこう、と強く思いました。
そして決心しました。いつか絶対ローマに住もう、と。

 私は帰国すると早速イタリア語の勉強を始めました。
ローマに住むという夢が叶うかどうかは分からないけど、ちゃんと準備はしておきたいと思ったんです。
ローマはこれほどまでに私の心を動かしたのです。あまりにも素晴らしすぎます。
ありがとう、ローマ。

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