月曜日の朝は憂鬱だった。
あんな事があって、まともに彼の顔を見られるだろうか。
どう考えても分からなかった。彼は何故あんな事をしたんだろう。
学校が近づくにつれて緊張が高まった。どうしよう。彼に会ったら何を言えばいいんだろう。「おはよう」の一言さえ、今の僕には荷が重い。
ドキドキしながら教室のドアを開ける。ほっとした。彼はまだ来ていないようだ。
僕は自分の席へ座り、ずっとドアの方を気にしていた。いつ彼がやってくるかとドキドキしていたんだ。
会うのが怖いくせに、本当は早く会いたくてたまらない。
ところがいつまでたっても彼は来なかった。そのうち担任の教師がやってきて出席をとり始めた。
どうしたんだろう。今まで彼が学校を休んだ事なんかなかったのに。
まさか、僕のせいじゃないよね。
「保坂、保坂健二、来てるか?」
次は彼が呼ばれる番だ。僕は緊張して教師の言葉を待った。
「正岡和也」
「来てません」
誰かがそう答えたその時、教師が信じられない言葉を口にした。
「正岡和也は、退学した」
教室内がざわついた。
手が震えた。ウソだ! だって、彼はそんな事何も言っていなかった。
「正岡は家庭の事情で……」
もう何も耳に入らなかった。
僕は放課後を待たずに学校を飛び出した。
何度も彼の携帯へ電話をしてみたけれど、つながらない。
次に僕がした事は、彼の家を尋ねる事だった。
今まで一度も彼の家へ行った事はなかった。住所を頼りに探すしかない。
やがてそれらしき家が見つかった。
ものすごく大きな家だった。表札を見ると「正岡」となっている。
僕は表札の隣の張り紙を見て愕然とした。
そこには大きな文字で「売家」と書かれていた。
もう人目も気にせず、道に座り込んで泣いた。
僕の恋は突然終わりをつげたんだ。
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